遺品整理とは
身内をなくした遺族には、お葬式や各種手続きなどの他に、遺品整理という仕事が待っています。故人の生活用品や思い出の品々を片づけていく作業です。
人が生きていれば、ある程度まとまった量の身の回り品を持っているもの。故人との思い出を偲びながらも、それらを遺品として取っておくか、処分するか。また処分をするにしても、買い取ってもらうか、廃棄するのか……など、悩みは尽きません。
遺品整理を終えて初めて、故人とのお別れ、故人と遺族の人生に区切りが付くのではないでしょうか。核家族や高齢化などの理由から、近年この遺品整理への注目は高まってきています。
デジタル遺品とは
「デジタル遺品」とは、パソコンやスマートフォンといったデジタル機器の遺品と、ブログやSNS、ネット銀行口座などのインターネット上にある故人のページなどを指します。
デジタル遺品が通常の遺品と異なる点は4つ。「自分以外からの見えにくさ」「パスワードの強固さ」「バックアップなどによる分散しやすさ」「検索性の高さ」です。
「パスワードでロックされた端末内にかけがえのないデータが残っている」「故人が遺したままのブログが荒れて困っている」 などの事態に陥った際は専門業者を呼ぶのが良いでしょう。
遺品整理を行う時期
遺品整理のタイミングは各家庭の事情によってさまざまです。賃貸住宅の場合、退去が遅くなればなるほど家賃が発生してしまいますが、ここでは持ち家を前提として大まかに説明していきます。
法要の時期に合わせて遺品整理を行う
四十九日や新盆、一周忌、三周忌などのタイミングを目安に遺品整理をする方が多い傾向にあります。
遺族もそれぞれ仕事や子育てや介護などで忙しかったり、遠くに住んでいたりすると、なかなか頻繁には集まれません。
そこで遺族が一堂に会する法要の場で遺品整理を行うことが多いようです。遺族みんなの考えを聞き、相談しながら形見分けもできますので、トラブル回避にもつながります。
葬儀後の手続きに合わせて遺品整理を行う
故人の身の回りの手続きが完了した時期の遺品整理も比較的多く見受けられます。お葬式の後はすぐに銀行・保険・行政関係の手続きが多く発生する上に、期限が決まっている手続きもあるので、遺品整理は後回しになりがちです。
優先課題が決着してから、落ち着いて片づけを始めるのも良いでしょう。
遺族の気持ちの整理とあわせて遺品整理を行う
持ち家である場合はさほど急ぐ必要がないため、遺族の気持ちが落ち着いてから時間をかけて整理することも可能です。
気持ちの切り替えができないうちに義務的に急いで片づけるよりも、故人の遺志を尊重したり、各々の思い出を振り返りながら丁寧に遺品整理をする方法もあります。ある意味、一番の供養になるのではないでしょうか。
遺品整理の方法は?
遺品整理を行い方には大きくわけて2つの方法があります。ひとつは遺族が遺品整理をする、そしてもう一つは遺品整理を業者に依頼する方法です。
遺品整理を遺族で行う場合
遺品整理は通常は遺族が行います。自分たちで片づければ、故人が大切にしていた物や思い出などを振り返りながら分類していくことができます。
費用も抑えられるため、時間や体力に余裕があるならば遺族で行うのが一番でしょう。しかし最近は遠方に住んでいたり、仕事や子育てや介護などで忙しかったり。また高齢で体力的に不可能という家庭も増えています。
また、思い入れが強い場合、なかなか捨てることができず、遺品整理が進まないという場合もあります。実際に、故人が亡くなってから何年たっても故人の部屋は生前と変わらずにそのまま遺っているといったこともあります。
リサイクルや買い取り業者に依頼する場合
上記のような事情から、リサイクル業者や買い取り業者に遺品を買い取ってもらうケースも見受けられるようになりました。
これらの業者は冷蔵庫や洗濯機などの家電はもちろん、さまざまな日用品まで幅広く取り扱っているので、早く片づけを済ませたい、少しでも現金化したいといった際には、こうした業者に依頼する場合もあります。
買い取り店はリサイクルショップよりも取扱商品が限定される難点はあるものの、専門の知識や販売ネットワークがあるなどの理由から、高値で買い取ってもらえる可能性もあります。
さらに近年では買い取り比較サイトなども充実しており、どこのお店が一番高値で買い取ってくれるかが分かります。出張や宅配買い取りサービスなどを利用することもでき、店舗に持ち込まなくて済むのが便利です。
また最近では故人が乗っていた車の買い取りも、遺品整理の一環として行われているようです。
このような場合は中古車買い取りの業者に依頼します。車の場合、車の保存状態によって査定が変わります。また自宅のガレージなどにあった車が整理されると、その空間を利用してほかの遺品の整理も進むともいわれています。
遺品整理専門の業者に依頼する場合
さらに、遺品整理サービスを利用するという方法もあります。
遺品整理サービスと一口に言っても、先述のリサイクルショップや引っ越しなどの業者が行っているサービスと、遺品整理を専門で行っているサービスがあります。
具体的なサービスの内容については、それぞれの企業によっても異なります。また引き取った上で供養を行うか否かなど、遺品の取り扱いについても各社によって違います。
孤独死、孤立死のあった部屋の原状復帰は?
また、孤独死、孤立死というように、近年では独居世帯で人が亡くなった場合、死後、遺体の発見が遅れるといったことも実際に起こっています。
特に賃貸物件で孤独死、孤立死があり、遺体が長い期間発見されなかった場合には、遺体の腐敗などから部屋が汚れたり、異臭が残ったりということもあります。
このような場合、遺品整理だけでなく、部屋の原状復帰も必要になります。遺品整理業者によっては、部屋の現状復帰まで含めて対応してくれるところもあります。
遺品整理の料金相場
遺品整理が必要な間取りや荷物の量・種類などによって料金は大きく異なります。
目安としては、1ルーム、作業員2名で3万~8万円ほどから始まり、4LDK以上となると20万円以上は見ておいた方が良さそうです。
部屋が狭くても荷物が多い場合は、当然料金も高くなります。梱包・搬出・清掃・車両・処分・家電リサイクル・オプション作業・消費税などさまざまな項目がありますので、必ず見積りで確認しましょう。
遺品整理の注意点
遺品整理を業者に依頼する場合、不用品処分や買い取りも同時に行ってくれるわけではありません。
遺品整理だけでなく、不用品処分代として別料金が請求される場合もあります。遺品整理の見積りをとる際には、その見積りに何が含まれているのか。不用品の処分などについても確認しておく必要があります。
また遺品整理業者に、買い取りも併せてお願いする場合は、さらに注意が必要です。査定士がいたり、専門知識がある業者なら安心ですが、価値が分からない業者に依頼してしまうと正確な査定をしてもらえないことも。
すべてを依頼する前に、必要最低限の遺品整理は自分たちでやっておいた方がトラブルが少なくて済むでしょう。
業者の選び方のポイント
遺品整理も複数の会社から見積りをとる
多くの業者はHPなどを持っていると思いますので、まずは料金や作業内容や口コミを確認しましょう。気になる店を見つけても、必ず複数社に見積りを依頼するのがおすすめです。
その際には、遺品整理と不用品処分や買い取りは一緒にやってもらえるのか?追加料金が発生するのはどのような場合か?なども確認し、メールや書面で残しておきます。また、トラブル回避のため、料金後払いの業者の方が良いでしょう。
遺品整理専門業者とそのほかの業者との違い
近年、リサイクルショップや買い取り店、廃品回収、引っ越し業者などが遺品整理サービスに参入している場合もあります。
専門知識がない状態でゴミ処分や宝探しのように作業されるのは、遺族にとっても不快です。また大切な遺品を処分されてしまったり、雑に扱われたり盗まれたりといったトラブルに巻き込まれる可能性もないとは言い切れません。
その点、遺品整理専門業者であれば、知識・経験の面で遺族に配慮した対応が期待できます。
故人の思い出や遺族の気持ちに寄り添ってもらえれば、後悔のない遺品整理が可能ですし、納得できる供養にもなるでしょう。
また、処分の判断に迷う場合などにアドバイスしてくれる人がいるのは大きなメリットです。
整理した遺品の供養はどうなっている?
遺品によっては神社仏閣で供養したい物も出てくるかもしれませんが、遺品整理専門業者の中にはお焚き上げや読経などのサービスを提供している会社もあります。
このように遺品の取り扱い方のプロフェッショナルであることが、遺品整理専門業者の特徴のひとつです。
処分先やリサイクル先が明確であれば信頼感も増しますので、こちらも確認ポイントのひとつとしてください。